プレゼンテーションスキルの全体像

プレゼンスキルの全体像
Aさん
Aさん

この間のプレゼン、完全に失敗だったわ。くよくよしてても仕方ないから、次は成功するように、この本で勉強するよ!

Bさん
Bさん

どんな本を買ったの?

Aさん
Aさん

『PowerPointの操作方法100選』だよ

Bさん
Bさん

次のプレゼンも失敗するだろうね

さて、Bさんは人としては間違っているかもしれませんが、言っていることは間違っていません。プレゼンが失敗したときにPowerPointスキルにテコ入れをしても、次のプレゼンが成功することはありません。プレゼンの可否は、綺麗なスライドが作れたかどうかでは決まらないからです。

いまや、「プレゼンテーション(プレゼン)」という言葉は誰でも知っています。社会人どころか、学生でもプレゼンすることが普通に求められる時代です。

しかし、プレゼンを成功させるために、どういう努力をすべきなのかは、あまり知られていません。その結果として、Aさんのように「プレゼン = PowerPoint」と考えてしまい、ズレた努力をすることになってしまうのです。後述しますが、PowerPointスキルはプレゼンスキルの1つではあるものの、プレゼン全体に与える影響は限定的です。

このエントリーでは、プレゼンテーションを成功させるためには、どんなスキルを学べばいいかを説明します。最初に結論を述べてしまうと、プレゼンを成功させるために習得すべきスキルのリストは、以下になります。

  • ロジック作成のスキル
    • コンテクストの整理(厳密にはスキルではない)
    • ロジカルシンキング
    • 作業(調査・実験・分析など)のスキル
  • パッケージ作成のスキル
    • パッケージの構成
    • メディア
    • デザイン
    • PowerPointスキル
  • 本番プレゼンのスキル
    • スピーチ
    • 外見

これから、どんな理由でこのリストになるのかを学んでいきましょう。

なお、このエントリーでは個々のスキルの詳細な説明までは行いません。詳細は文中で紹介する書籍やリンクを参考にしてください(紹介するものの中には、当社の商品が含まれています。予めご了承ください)。

では始めていきましょう。

言葉の定義

最初に、いくつか言葉の意味を定義しておきましょう。以下のスライドを見てください。

言葉の定義

まず、PowerPointやKeynoteで作成するプレゼンテーションファイルのことを、「パッケージ」と呼ぶことにします。このファイルを「プレゼン資料」と呼んでいる人も多いですが、「プレゼン」は別の意味で使いたいので、このサイトでは「パッケージ」で統一表記します。

Keyword

パッケージ:1つのプレゼンテーションファイル

なお、現在はPowerPointのシェアが圧倒的なので、このサイトではパッケージ作成ソフトとしてPowerPointを想定していきます。

「スライド」と「コンテンツ」に関しては説明は不要でしょう。上のスライドを見れば分かるはずです。

最後に、「プレゼンテーション(プレゼン)」とは、パッケージを大画面テレビやスクリーンに投影しながらスピーチをする行動のことを意味します。毎回「プレゼンテーション」では長いので、以降は「プレゼン」の表記を使います。

Keyword

プレゼンテーション(プレゼン):パッケージを投影し、スピーチをすること

このうち、特に本番のプレゼンを明確に区別したいので、本番のプレゼンのことは「本番プレゼン」と呼ぶことにします。

Keyword

本番プレゼン:会場で受け手に向けて行う、本番のプレゼン

プレゼンスキルの全体像

では本題に入りましょう。早速、プレゼンスキルの全体像を見てください。

プレゼンスキルの全体像

上段は、1つのプレゼンにおける、始まりから終わりまでのプロセスです。下段は、各プロセスを上手くやるために必要なスキルや知識になります。なお、毎回「スキルや知識」と書くと冗長なので、これ以降は知識も含めて「スキル」と表記します。

ここではまず、以下の2点を押さえてください。

  1. 1つのプレゼンを終わらせるまでには、3つのプロセスを経る必要がある
  2. 各プロセスごとに、求められるスキルは違う

では、ここから「どういうプロセスで本番プレゼンに至るのか」と、「各プロセスではどんなスキルが必要で、それはなぜか」を学んでいきましょう。それが分かれば、自分に必要なプレゼンスキルが特定できます。

プレゼンのプロセス

スライドにあるとおり、プレゼンは以下の3つのプロセスから構成されます。

  1. ロジックを作る
  2. パッケージを作る
  3. 本番プレゼンする

これは逆から説明した方が分かりやすいでしょう。

まず、最後には本番プレゼンをします。あなたは壇上に上がり、パッケージを投影して、受け手に向かって話しかけるわけです。これが終わったところで、1つのプレゼンプロセスは終了とします。

もちろん、実際には本番プレゼンの後に議論や質疑応答があり、あなたが自分のゴールを達成できるかはそこでの対応も含めて決まります1。しかし、話のスコープを広げすぎても分かりにくくなってしまうので、ここでは便宜上、本番プレゼンまでとさせてください。

一歩前に戻りましょう。本番プレゼンの前に、パッケージを完成させておきます。パッケージ作成には時間がかかりますからね。分かりやすく言えば、PowerPointを操作して個々のスライドを作るということです。これが後ろから2番目のプロセスです。

さらに一歩前に戻りましょう。パッケージを作成するためには、「プレゼン中に受け手に伝えたいこと」が固まっている必要があります。何を伝えたいかハッキリしていないのに、パッケージは作成できないからです。この「プレゼン中に受け手に伝えたいこと」は、一般にロジック、ストーリー、アウトラインなどと呼ばれます。このサイトでは「ロジック」で統一表記するので、覚えておいてください。

Keyword

ロジック:プレゼン中に受け手に伝えたいこと

ポイントは、パッケージを作ることとロジックを作ることは、別のプロセスであるということです。パッケージとはロジックを表現するための手段であって、ロジックそのものではありません。ここをゴチャゴチャにして、いきなりPowerPointを触ってしまうと、そのままプレゼンの失敗へ一直線です。注意してください。

つまり、パッケージを作る前に、ロジックを作ります。このプロセスはWordなどの文書ソフト(テキストが書ければいいので、他のアプリでも構いません)を使って行います。あなたは、どんな論点に対して、何を主張し、その主張をどんな根拠で支えるのでしょうか? それを文字に落としましょう。

以上が、プレゼンのプロセスです。まとめとして、前からの順序で言い直しておきます。まずロジックを作り、そのロジックを基にパッケージを作り、本番プレゼンに臨む。この順番で進めましょう。

では、各プロセスを具体的に見ていきましょう。

プロセス①:ロジックを作る

プレゼンスキルの全体像①

最初のプロセスは、ロジックを作ることです。このプロセスでは、プレゼンを通じて受け手に伝えたいことを整理し、文字に落とします。

このプロセスが最も重要です。中身のない話をどれだけ上手に伝えても、プレゼンが成功する可能性はゼロだからです。この後に説明する、②パッケージを作ることや、③本番プレゼンすることは、あくまで伝え方の話であり、伝える内容の話ではありません。以下のスライドで確認してください。

伝える内容と伝え方

まずはとにかく、受け手の興味を引き、納得させられるロジックを作る必要があります。これがすべてと言っても過言ではありません。

このプロセスの成果物

このプロセスで作成するのは、ロジックを書いたテキストです。以下の画像でイメージを掴んでください。

プレゼンのロジック

このテキストの詳細については、長い話になるため以下のエントリーで解説しています。ただし、まずは全体像を掴んだ方がリンク先の話も分かりやすくなると思うので、画像だけではピンとこない場合でも、一旦は「最初に、上のテキストのようなものを作る」くらいの認識で先に進んでしまうことをオススメします。

ロジックを作るために必要なスキル①:コンテクストの整理

では、ロジックを上手に作成するためには、どのようなスキルが必要なのでしょう?

真っ先に必要となるのは、プレゼンのコンテクスト(あなたはどういう状況でプレゼンするのか)を整理することです。

これは一言でいうと、状況や相手に応じて、伝える内容や伝え方を調整するということです。これも長い話になるので、別エントリーにまとめました。このエントリーの後にでも読んでみてください(最後にもリンクを貼っておきます)。

Point

ロジック作成に必要なスキル①:コンテクストの整理

厳密には、コンテクストの整理は「スキル」というより、ロジックを作る前に行う1つのプロセスです。しかし、全体のプロセスは3つにまとめた方が分かりやすいと考え、ここで紹介しました。とにかく、「どんなプレゼンでも、まずはコンテクストから考える」ということを覚えておいてください。

ロジックを作るために必要なスキル②:ロジカルシンキング

ここからは、スキルらしいものを紹介します。

まず、ロジックを作る上で中心的に必要なスキルはロジカルシンキングです。ロジカルシンキングができなければ、受け手を論理的に説得できるロジックを作ることはできません。まだロジカルシンキングを学んでいないなら、まずはロジカルシンキングを学ぶことから始めるのがよいでしょう。

Point

ロジック作成に必要なスキル②:ロジカルシンキング

ロジカルシンキングに関しては、別コースがこのサイトで開講中です。以下のリンクを参考にしてください。

ロジックを作るために必要なスキル③:作業のスキル

精緻なロジックを作成するためには、正しい方法で集められた、客観的な根拠が必要になります。そのために、以下の作業のスキルも必要となります。

  • デスクサーベイ
  • 質問調査
    • インタビュー
    • アンケート
  • 実験
  • データ分析
    • まずはExcelの使い方から入って、統計の基礎くらいまではやっておきたい
  • その他、専門領域ごとの内容

このうち、どの領域のスキルが必要になるかは、プレゼンのテーマ(=あなたの専門領域)によります。必要なものを順次身につけていけばよいでしょう。迷うなら、多くの分野で必要となるデスクサーベイとデータ分析から始めるのがオススメです。

Point

ロジック作成に必要なスキル③:作業(調査・実験・分析など)のスキル

作業のスキルに関しては、上記のキーワードで検索をかければ、いくらでも関連書籍が見つかります。他にも、「情報収集」、「社会調査」などのワードも使ってみてください。ただし、作業のスキルは、実際に自分で手を動かさないと身につかないので、必要になったときに習得するということでもよいかもしれません。とにかく、お勉強だけにならないよう注意してください。

まとめ

このように、ロジックを上手に作れるようになるためには、多くのスキルを身につける必要があります。当然、これらのスキルは一朝一夕には身につきません。つまり、すぐにロジックが上手に作れるようになる、うまい話はないのです。

そのせいか、プレゼンスキルを説明するときに、この「ロジックを作る」プロセスそのものがカットされることが多々あります。

しかし、繰り返しになりますが、このプロセスが最も重要です。中身のない話をどれだけ上手に伝えても、価値は生まれないからです。気長にこのプロセスに対する努力を続けてください。

また、このプロセスに対応するスキルは、プレゼンに限らず、論文からメールでの報告まで、あらゆるシーンに適用可能です。どんな伝え方を選ぶにしても、ロジックは必要だからです。時間はかかりますが、早めに着手するべきでしょう。

Point

すぐにロジックを上手く作れるようにはならないが、ここに対する努力を継続することが重要

プロセス②:パッケージを作る

プレゼンスキルの全体像②

ロジックが完成したら、次にパッケージを作成します。PowerPointを使い、完成したロジックをパッケージに落とし込む作業ですね。

繰り返しになりますが、このプロセスに進む前に、一旦ロジックを完成させておきましょう。PowerPointは伝え方を考えるソフトであり、これを触りながら伝える内容を考えることはできません。このプロセスでは伝え方を考えることに集中すべきなので、伝える内容は事前に完成させておきましょう2

このプロセスの成果物

このプロセスで作成するのは、言うまでもなくパッケージです。これに関しては説明は不要でしょう。

では、この成果物を上手に作成するためには、どのようなスキルが必要なのでしょう?

ここから、話を「全体としてのパッケージ」と「個々のスライド作成」に分けて進めます。

全体としてのパッケージ作成に必要なスキル:パッケージの構成

まず、全体としてパッケージの作成に必要なものは1つだけで、パッケージの構成スキルです。どのような内容のスライドを、どういう順序で並べると、伝わりやすいパッケージになるのでしょう? これを知らないと、せっかく作ったスライドを活かしきれません。

実際、「作ったスライドをとにかく詰め込んでパッケージを作り、いざプレゼンしてみると話がちぐはぐになってしまった」という経験がある人も多いのではないでしょうか。パッケージでは個々のスライドがぶつ切りになっているので、話が流れないことに気づきにくいのです。

このミスを避けるためには、プレゼンが1つのお話として流れるためには、パッケージをどのように構成するべきかを知っておく必要があります。これがパッケージの構成スキルです。

Point

全体としてのパッケージ作成に必要なスキル:パッケージの構成

これだけでは分からなかったかもしれないので、具体的なパッケージの構成パターンを紹介しておきます。拙著『スライドライティング 第2章 パッケージの構成』からの抜粋です。

パッケージの構成

スライドの種類

手前味噌ですが、私の知る限り、パッケージの構成に関して言及している書籍はこれしか存在しません。というか、この領域に関するノウハウが世の中に流通していないと思ったのでこの本を書きました。この後の宣伝セクションにリンクを貼っておくので、興味がある人は読んでみてくださいね。

個々のスライド作成に必要なスキル①:メディア

では、ここからは個々のスライド作成に必要なスキルを説明します。

まず、伝わりやすいスライドを作成するためには、スライド内で使用可能なメディアと、その特性を理解しておく必要があります。ここでいう「メディア」とは、表現方法のことです。

具体例を見た方が分かりやすいでしょう。以下に、スライド内で使用可能なメディアをまとめてあります。

スライド内で使えるメディア

簡単に説明すると、上側にあるメディアを多用すると、緻密な説明が可能になりますが、スライドは分かりにくくなります。一方、下側のメディアを多用するとスライドは分かりやすくなりますが、緻密な説明には向きません。自分のプレゼンのコンテクストと照らし合わせ、どのメディアをどれくらい使うか考えましょう

Point

個々のスライド作成に必要なスキル①:メディア(表現方法)

メディアに関しては、書籍などからスキルとして学ぶことはオススメできません。プレゼンのコンテクストで正解が変わるからです。世の中に流通している教材には「とにかく画像を使って視覚化しよう」といったことが書かれていますが、これがあなたにとって正しいアドバイスなのかは分からないのです。何枚もスライドを作る過程で経験を積み、感覚を磨くしかないでしょう。

個々のスライド作成に必要なスキル②:デザイン

次に、デザインのスキルも必要です。スライドにおけるデザインとは、具体的には以下の3つの要素のことです。

  • レイアウト(何を、どこに置くか)
  • 配色(何を、何色に塗るか)
  • フォント/タイポグラフィ(テキストをどのように見せるか)

これらに関する基本的なルールを押さえるだけで、スライドはずっと伝わりやすくなります。しかも、デザインの基本は短時間で学べる上に、その知識は文書やWebサイトなど、パッケージ以外にも転用できます。専門家レベルになる必要はないですが、早めに習得するのがオススメです。

Point

個々のスライド作成に必要なスキル②:デザイン(レイアウト・配色・フォント)

デザインに関しては、以下の2冊が王道と言えるでしょう。どんな人にもオススメできます。

また、拙著『スライドライティング』シリーズも第4章から第6章はデザインを扱っていますので、そちらもよろしくお願いします(リンクは後ほど)。

個々のスライド作成に必要なスキル③:PowerPointスキル

最後に、PowerPointスキルも必要です。どれだけメディアやデザインに習熟していようと、最後にはPowerPointを触らなければスライドはできません。これは当たり前ですよね。

Point

個々のスライド作成に必要なスキル③:PowerPointスキル

ただ、PowerPointスキルといっても色々あり、具体的には以下のように分類できます。

  • 操作(機能と、その実現方法)
    • 基本:ファイルの作成・保存方法、オートシェイプの置き方、間隔の揃え方など
    • テンプレート作成:マスタの編集、スライドサイズの変更、カラーパレットの変更など
  • 操作の効率化
    • ショートカットの習得:Ctrl + C、Ctrl + V、Ctrl + Zなど
    • ツールバーの整理:頻繁に使う機能をツールバーに出す
    • テンプレートの充実化:頻繁に使うスライドフォーマットやオートシェイプをまとめておく
    • マクロの作成:プログラムを書いて、自分が頻繁に行う定型の操作を自動化する
    • ハードウェアの整備:大型ディスプレイ、高機能マウスなど

このうち、どこまで学ぶべきかは状況によります。組織からテンプレートが支給されている人は、テンプレート周りのことまでやる必要はないでしょう。また、マクロはほとんどの人には不要でしょうし、必要だとしても学習コストが大きいので、外注した方がいいかもしれません3

なお、PowerPointスキルを身につけるのは、パッケージ作成にかける時間を節約するためです。最初に述べたように、PowerPointを触りすぎることはプレゼンを失敗に導きます。浮いた時間はロジック作成か、他のことに使いましょう。

PowerPointスキルを学ぶ上でのポイント

PowerPointスキルは広範囲にわたるので、教材や学び方を個別に述べることは割愛します。大きな方針として、以下の2点にだけ注意してください。

まず、完全に我流で(ソフトを触りながら、トライアンドエラーで)やり方を覚えるのは避けるべきです。最低でも1冊くらいは本を読んで、体系的で効率的な操作方法を学びましょう。

これはITスキル全般にあてはまることですが、我流で学ぶと、非効率なスタイルが定着するリスクがあります。ソフトウェアというのは、やりたいことができない場合はやり方を調べるしかないですが、やりたいことができているときに、もっと効率的なやり方を調べることは少ないですよね。やりたいことができているなら問題はないですし、そもそも「もっと効率的なやり方」があるかどうかは分からないからです。

私見ですが、これは特にMicrosoft Office製品に強くあてはまることだと思います。我流で学び、非効率なスタイルが定着している人をこれまで何人も見ました。PowerPointでの具体例だと、以下のようなことです。

  • テンプレートで対応できることを、手作業でやっている
    • スライドごとに新しくオートシェイプを作ってスライドのタイトルを書く、など
  • ショートカットが存在する操作を、毎回メニューから選択している
    • コピペするのに、毎回右クリックから選択している、など

こういう細かいムダは、積み重ねると無視できない大きさになります。最低でも、主要なショートカットくらいは今すぐ覚えてしまいましょう。

次に、教材は最新のものを使ってください。とにかく、できるだけ新しいものを選ぶべきです。

PowerPointに限らず、ソフトウェアの教材は2–3年で腐ります。ソフトウェアがアップデートされ、画面や操作方法が変わってしまうからです。PowerPointは長期にわたって抜本的な変更はされていないソフトではありますが、それでも細かい機能の追加などは日々行われています(例:2018年のバージョンアップでアイコンを挿入できるようになった)。

英語の教科書なら、古くても良質な教材を安く手に入れることは賢い買い物です。しかし、ソフトウェアの教材に関して同じことは当てはまりません。費用はかかりますが最新の教材を買うか、更新時期が最近のWeb記事を探してください。

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ではここで一旦、ここまで紹介したスキルに対応する当社の商品を紹介させてください。

まず、コンテクストの整理からスライドのデザインまでを、電子書籍『スライドライティング』シリーズにて詳しく説明しています(Amazonにて販売中)。現在は『第6章:配色』まで刊行済みで、今後フォントやグラフの選択についての章も刊行予定です。Kindle Unlimitedに登録されている方は全巻無料、そうでない方も第1章はお試し価格で99円になっておりますので、ぜひご一読ください。

書籍の紹介ページへ

また、「ロジカルシンキングを正しく使用してパッケージを作成するプロセス」を一通り実践してもらう個人向け研修も開催中です。東京都内で月に1–2回開催しておりますので、お近くの方はご参加ください。詳しくは以下のリンクを見てください。

研修の紹介ページへ

プロセス③:本番プレゼンする

プレゼンスキルの全体像③

最後のプロセスは、本番プレゼンすることです。パッケージを投影し、受け手に向かってスピーチをするわけですね。

このプロセスでは、まずは減点されないことを目指すとよいでしょう。きちんと考えたロジックがパッケージに落とし込めているのであれば、本番プレゼンでよほどの下手を打たない限り、プレゼンは合格点を超えます。大きな声でハキハキ話す、不信感を持たれるような見た目にしない等の基本を押さえることから始めてください。

このプロセスの成果物

このプロセスは最終プロセスなので、成果物と呼べるものはありません。強いて言うなら、あなたのゴール(プレゼンを通じて成し遂げたいこと)を達成することが成果物です。

ただし、先ほども述べましたが、ビジネスにおける大半のプレゼンでは、本番プレゼンの後に議論や質疑応答があります。ゴールを達成するためには、本番プレゼン後を切り抜けるスキルも必要であることは忘れないでください。

さて、本番プレゼン行う上では、この後に紹介するいくつかのスキルより重要なことが2つあります。それらを先に紹介しておきます。

本番プレゼンでスキルより重要なこと①:受け手に確実にパッケージを見せられるようにしておく

まず、受け手に確実にパッケージが見せられるようにしておきましょう

機器のトラブルなどによってパッケージが投影できなくなってしまえば、せっかく作ったパッケージも無意味です。これは最悪ですよね。そこまでの事態にはならないとしても、投影に手間取って時間どおりにプレゼンが始まらないのも、とても見苦しいものです。こういう部分で減点されるのはもったいないので、しっかり対策しておきましょう。

Point

本番プレゼンでは、受け手が確実にパッケージを見られるようにしておく

残念ながら、機器のトラブルのリスクをゼロにすることはできません。しかし、事前に対応策を講じておけば、受け手がパッケージを見られない事態に陥る可能性はほぼゼロにできます。具体的な対応策には、以下のものがあります。

  • 事前に会場に行き、機器の接続を確認しておく
  • 関係者にパッケージを事前送付しておく
    • 自分のパソコンに異常があっても、他の人のパソコンで投影できる
  • 受け手にパッケージを事前送付しておく
    • ディスプレイやプロジェクターにトラブルがあった場合でも、受け手のパソコンでパッケージを見てもらえる
    • パッケージを事前送付したくない場合は、USBやクラウドサーバーにパッケージを保存し、トラブルの際に即座に共有できるようにしておけばOK
  • パッケージを印刷しておく

このように対応策を講じておけば、どんな事態になっても心を乱されることなく本番プレゼンに臨めます。上記のすべてをやる必要はないので、状況にあったものを選んでください。備えあれば憂いなしです。

本番プレゼンでスキルより重要なこと②:事前練習をしておく

次に、事前練習をしましょう。最低でも一回は、声を出してプレゼンを通してください。

パッケージを作成すると、「内容は頭に入ってるし、ぶっつけでもプレゼンできるだろう」と考えてしまいがちです。しかし、これは誤解です。パッケージは台本ではありません。個々のスライドがスムーズにつながって、一つのロジックとして聞こえるかは、実際にプレゼンしてみないと分からないのです。声を出して、自分のプレゼンを確認しましょう。

Point

本番プレゼンの前に、必ず事前練習をしておく

具体的には、声を出しながら、以下のポイントを確認してください。

  • スライド間のつなぎの言葉(最重要)
    • パッケージには接続詞が書けないので、スライド間の論理関係をスピーチで補う必要がある
  • 目線の誘導方法・タイミング
    • ポインターを使うタイミング
    • 「ここを見てください」といった声かけ
    • 状況によっては、アニメーションを使ってもよい(目線を強制的に誘導できる)
  • 強調する言葉や、間のとり方

聴衆のいない中でプレゼンをするというのは、最初は妙な気恥ずかしさがあるかもしれません(私はありました)。しかし、慣れてしまえば気にならなくなるものです。事前練習をして、万全の状態で本番に臨んでください。

本番プレゼンに必要なスキル①:スピーチスキル

では、ここからは本番プレゼンを上手く行うためのスキルを紹介します。

本番プレゼンで必要なスキルとして真っ先に挙げられるのは、スピーチスキルです。具体的には、以下のことです。

  • 発声(アナウンス)
    • 腹式呼吸・滑舌など
  • 立ち居振る舞い
    • 姿勢
    • 目線の配り方

同じ内容を話すにしても、大きな声でハキハキと話されるのと、小さな声でボソボソと話されるのでは、印象は大きく違いますよね。また、訓練をしないと、プレゼン中に受け手の方を向いて話すのは難しいです(投影されたスライドの方を向いてしまう)。このような、「壇上での話し方」全般に関するスキルをスピーチスキルと呼ぶことにしましょう。

Point

本番プレゼンに必要なスキル①:スピーチスキル

このスキルに関しては、アナウンス学校で様々なコースが開催されていますし、アナウンサーによるEラーニング教材や教科書もあります。アナウンス技術が中心ですが、特に問題はないでしょう。

私見ですが、ここはコストがかかってもアナウンス学校の授業を受けることをオススメします。独学では、①自分が正しく発声できているかを確認する手段がない、②一人で何度も大声を出すのは住環境・モチベーション的に難しい、からです。多くのことが独学しやすくなっている時代ではありますが、このスキルに関してはまだライブ授業に大きな優位性がある気がします。

本番プレゼンに必要なスキル②:外見

最後に、これをスキルと呼ぶかは議論の余地がありますが、外見を磨くことも重要です。

綺麗事を抜きにすれば、誰でも見た目が優れている人に惹きつけられます。つまり、あなたの外見が今より改善すれば、受け手はあなたのプレゼンを今より真剣に聞くでしょう。外見に関しては、努力で改善できる余地には限界があることも事実です。しかし、これは努力をしない理由にはなりません。やれることをやりましょう。

Point

本番プレゼンに必要なスキル②:外見

外見は、さらに以下の要素に分解できます。

  • 装飾(皮膚の外側にあること)
    • 毛髪(髪型・眉毛・ヒゲなど)
    • メイク
    • ファッション
    • 歯の色
  • 肉体(皮膚の内側にあること)
    • 体つき
    • 顔つき
    • 肌の色、ほくろ
    • 歯並び

王道のアプローチは、まずは装飾で最低ラインを超え、その後は肉体を改善することです

装飾はお金さえかければ即座に改善できるため、短期的にインパクトが出せます。まずはここにお金をかけて、清潔感のある、減点されない外見にしましょう。

しかし、いつまでも装飾だけを頑張っても、お金がかかるだけで根本的な改善はできません。現実として、10万円のスーツを着た痩せっぽちより、1万円のスーツを着たマッチョの方が説得力は上です(例が男性よりになっていますが、女性でも同じです)。時間はかかりますが、どこかのタイミングで肉体への努力を始めるべきでしょう。流行語にもなったとおり、筋肉は裏切りません

外見に関しては、プレゼンスキルというより社会生活の基本なので、ここで個別に具体的な教材や学び方を説明することはしません。世の中に情報が溢れているので、必要に応じて対応してください。

まとめ

これで全体像が掴めたはずです。最後に、冒頭でも紹介したスキルのリストを再掲しておきます。

  • ロジック作成のスキル
    • コンテクストの整理(厳密にはスキルではない)
    • ロジカルシンキング
    • 作業(調査・実験・分析など)のスキル
  • パッケージ作成のスキル
    • パッケージの構成
    • メディア
    • デザイン
    • PowerPointスキル
  • 本番プレゼンのスキル
    • スピーチ
    • 外見

このように、プレゼンを成功させるために必要なスキルは多岐にわたります。

効率的にプレゼンを改善するためには、自分がどのプロセスに問題を抱えているのかを明らかにし、そのプロセスに対応するスキルから身につけるとよいでしょう。ただし、これまで述べてきたように、各プロセスの重要性には差があります。また、短時間で身につけられるスキルと、そうでないスキルがあるので、そのあたりも考慮して、どこから着手するか考えてください。

早速、自分に必要なものを選んで、勉強を始めてみてくださいね。コンテクストの整理を学びたい人は、以下のエントリーをどうぞ。


  1. 議論に対応するスキルとしては、「ファシリテーション」というものがあります。興味がある人はこちらも学んでみてください。 

  2. ただし、パッケージを作る過程でロジックの不備に気がついたときは、当然ロジックを修正すべきです。実際、そういうことはよく起きます。 

  3. ただし、外注も簡単な話ではありません。マクロ(もしくは、その他のプログラム)を書いたことがないと、「自分のやっていることのうち、どこがマクロで効率化できるか」が分からない、つまり、外注する内容を定義できないからです。大型のシステム開発ならともかく、マクロ程度では外注先に個別具体的な業務を理解してもらうのは現実的ではありません。最低でも、自分のチームの中に1人はマクロに詳しい人材が必要です。