【必要性・メリット】なぜロジカルシンキングを学ぶべきなのか

Aさん
Aさん

どうしたら、来月までに3kg痩せられるかな?

Bさん
Bさん

あ、このあいだ、テレビで見たよ。日曜日の9時からやってる番組なんだけど、面白くて毎週見てるんだ。バナナダイエットをするべきだよ。

Aさん
Aさん

結論から話してくれないかな? ロジカルシンキングの勉強をした方がいいよ。

Bさん
Bさん

(なんだコイツ……)

このような会話が、今も日本のどこかで繰り広げられている……かは分かりません。しかし、Bさんの話が分かりにくいのは確かです。また、話の内容にも問題があります。バナナダイエットをしても、おそらくダイエットは上手くいきません。

今や、ロジカルシンキングは社会人の必須スキルとしての地位を確立しました。就職活動を始めた大学生や新社会人なら、「ロジカルシンキング」という言葉を一度は聞くことになります。

なぜこんなことになっているのでしょうか。つまり、なぜ、ロジカルシンキングを学ぶべきなのでしょう? 言い換えれば、ロジカルシンキングにはどんなメリットがあって、どんな役に立つのでしょう? このエントリーでは、この問いに答えていきます。

既にロジカルシンキングの勉強を始めようと思っている人は、これを読んで学習のモチベーションを高めてください。まだロジカルシンキングの勉強を始めるか悩んでいる人は、これを読んで少しでも勉強する気になってくれたら嬉しいです。

では始めていきましょう。

ロジカルシンキングとは

最初に、ロジカルシンキングとはどんなスキルなのかを簡単に説明します。あなたはまだ、ロジカルシンキングがよく分かっていないはずですからね。

ロジカルシンキング(logical thinking)なので、まずは英語を翻訳……することはオススメできません。「ロジカルシンキング」を翻訳すれば、”logical(論理的な)thinking(思考法)”、つまり「論理的な思考法」となります。

しかし、日本で一般に言うところの「ロジカルシンキング」とは、「論理的である」ということとは関係ないことや、「思考法(考え方)」以外のことに言及することがあります。要するに、「ロジカルシンキング」とは和製英語であり、言葉の翻訳が意味するところと、その実態は大きく乖離しているのが現実です1

実態としては、ロジカルシンキングとは基本的な「考え方」と「議論の仕方」のことを意味します。こう定義しておいた方が重要なことが説明しやすいので、このサイトでもこれを「ロジカルシンキング」の定義として採用します。

Point

ロジカルシンキング:基本的な「考え方」と「議論の仕方」のこと

おそらく、この定義だけでは曖昧でピンと来ないでしょう。しかし、ここはどうしようもありません。実際にロジカルシンキングを勉強せずに、ロジカルシンキングを深く理解することは不可能だからです。

このエントリー全体として、「あなたがよく分かっていないモノ(ロジカルシンキング)を学ぶべき理由を、具体的に説明する」という、ある種の矛盾をはらんでいます。ここは受け入れてもらうしかありません。

これがどうしても納得できない場合は、ロジカルシンキングの学習をある程度進めてから、このエントリーに戻ってきてもらうのがいいでしょう。以下のリンクに全体像をまとめてあるので、参考にしてください。

では、話を戻して、先に進みましょう。

ロジカルシンキングのメリット

ではその場限りのモチベーションはどうすれば深層的モチベーションになるのだろうか。答えは価値の概念に戻ってくる――結局モチベーションを罠として機能させるのは、やるに値するという感覚なのだ。

結局のところ、ロジカルシンキングを学ぶべき理由というのは、ロジカルシンキングを習得するメリットに他なりません。メリットがないことを勉強するくらいなら、遊んでいた方がマシですよね2

というか、メリットを理解せずにロジカルシンキングを学ぶのは不可能です。学習においてモチベーション(やる気)を引き出してくれるのはメリットだからです。

ロジカルシンキングに限らず、あらゆる学習を進める上で、モチベーションほど重要なものはありません。小さい子供でもない限り、誰も「勉強しろ」なんて言ってくれないですからね。自分で自分を勉強に向かわせるしかありません。また、「学びたい」と思っていないことを無理に勉強しても、何も身につかないでしょう。

Point

学ぶことにメリット(価値)を見出すから、モチベーションを持って勉強できる。

ロジカルシンキングを学ぶ上では、価値を見出しておくことは特に重要です。ロジカルシンキングは一朝一夕には身につかないからです。

ロジカル「シンキング(thinking)」というくらいですから、このスキルはあなたの考え方を変えます。どれくらいの時間がかかるかは人によりますが、最低でも1年くらいはかかると思ってください(ただし、これは教材を勉強する期間ではなく、学んだスキルを実践する期間です)。これは嫌々ながらに取り組める期間ではないですよね。

ということで、ロジカルシンキングのメリットを理解しておくことは、ロジカルシンキングを習得する上での必須条件です。

答え

では、ロジカルシンキング、つまり、基本的な考え方と議論の仕方を習得することのメリットは何でしょう?

おそらく、あなたはもう、その答えをうっすらとは分かっているはずです。そうじゃないと、「ロジカルシンキング」という単語に興味を持っていないと思うんですよね。

答えは「金になる」です。ド直球の火の玉ストレートで恐縮ですが、これ以外の答えは考えられません。

もちろん、これはわざと直接的な表現にしています。普通は、以下のようなもう少し大人な(婉曲な)表現が使われます。

  • ロジカルシンキングは社会人の基本スキルであり、身につけておくことは当然のたしなみ
  • ロジカルシンキングを習得することで、就職や転職が決まりやすくなる
  • ロジカルシンキングを習得すれば、仕事でより高い価値を出せるようになる。結果としてあなたの評価も上がり、昇進のチャンスが増える

こういう言説をどこかで見たから、あなたは「ロジカルシンキング」という単語に興味を持って、このページに至っているのではないでしょうか。

では、上のような言説は何を意味しているかというと、要するに「金になる」ということですよね。

もちろん、仕事は金だけじゃないということは私も分かっています。しかし、金がないと生きていけないのも事実ですよね。ロジカルシンキングに限らず、英語、プログラミングなど、社会人に人気があるスキルは、すべて金になる(そのスキルが就職や昇進につながる)から人気があるのです。ここは綺麗事を言っていても始まりません。

ということで、こういうことです。

Point

ロジカルシンキングのメリット:金になる

ロジカルシンキングは仕事でどのように役立つのか

ロジカルシンキングで身につく3つの力

さて、ここで終わっては、ネット上に溢れる情報商材と何も変わりません。根拠も示さずに「金になる」とだけ断言するなんて、怪しすぎます。ということで、なぜロジカルシンキングが金になるのかを、ここから説明していきます。

先述のとおり、ロジカルシンキングが金になる理由は、仕事で役に立つからです。では、ロジカルシンキングは仕事でどのように役立つのでしょう?

ロジカルシンキングを習得すると、大きく分けて以下の3つの能力が身につきます。

  1. 自分で考える力:正解がない問いに対して、自分なりの答えを出せるようになる
  2. 人に伝える力:自分の考えを、正確に、分かりやすく伝えられるようになる
  3. 人と一緒に考える力:自分以外の人も巻き込んで考えられるようになる

これらはすべて、「考える」ことを求められる仕事の基本能力です。

順に見ていきましょう。

ロジカルシンキングで習得する能力①:自分で考える力

ロジカルシンキングで身につく3つの力①

第一に、ロジカルシンキングを習得すると、自分で考えられるようになります

「いやいや、私はもう自分で考えてるし!」と思ったかもしれません。たしかに「頭脳が機能している」という意味ではそうですよね。しかし、ロジカルシンキングでは「考える」という言葉を、もう少し特殊な意味で使います。

ここでの「考える」とは、正解がない問いに対して、自分なりの答えを出すことです。そして、その答えに根拠を用意します。「私がそう思う/信じるから」というのは通用しません。徹底的に、「何が知覚(観察)されたのか」という、客観的な事実に重きを置きます。

「考える」をこう定義すると、私たちは日常生活において、ほとんど考えていないということが分かるはずです。ロジカルシンキングを学んで、考えられるようになりましょう。

では、この力がなぜ仕事で役に立つのでしょう?

答えは、仕事では正解のない問いしか考えないからです。正解がある問いは、検索するか人に聞いて終わりです。つまり、考えることを求められるすべての仕事で、正解のない問いの答えを自分で探せないと、お話にならないのです。「役に立つ」とか、そういうレベルの話ではありません。

Point

「考える」仕事では、自分で考える力がない人は存在意義がない

ロジカルシンキングで習得する能力②:人に伝える力

ロジカルシンキングで身につく3つの力②

第二に、ロジカルシンキングを習得すると、自分の考えたことを、正確に、分かりやすく伝えられるようになります

冒頭のBさんが分かりやすい例ですが、思いつくままに話す/書くと、私たちの言葉は驚くほど分かりにくくなります。ロジカルシンキングでは、自分の考えを正確に、分かりやすく伝えるための方法論を学び、あなたの伝える力を改善します。

では、この力がなぜ仕事で役に立つのでしょう?

答えは、仕事とは他者に貢献することだからです。どんな仕事であれ、あなたのしたことに喜ぶ誰かがいるから、それが仕事として成立します。つまり、仕事では他者と関わることは必然であり、その過程で必ず他者とのコミュニケーションが発生します(仕事によって量は大きく異なりますが)。そのコミュニケーションは、正確で分かりやすいに越したことはありませんよね。

Point

仕事では他者とのコミュニケーションが必要なので、自分の考えを正確に、分かりやすく伝える力が役に立つ

ロジカルシンキングで習得する能力③:人と一緒に考える力

ロジカルシンキングで身につく3つの力③

さて、自分で考え、それを人に伝えられるようになると、人と一緒に考えられるようになります。これがロジカルシンキングで身につく第三の能力です。

ロジカルシンキングを学ぶと、人と一緒に考える上でのルールが理解できます。このルールを理解してはじめて、あなたは人と一緒に考えられるようになるのです。

これはスポーツを考えると分かりやすいでしょう。サッカーで遊びたいなら、参加者全員がサッカーのルール(ルールブックに書かれていることだけでなく、従うべき規範全般)を理解している必要がありますよね。たとえば、「キーパー以外は、手でボールを扱ってはいけない」、「勝つことを目的とし、そのためにチーム全員で協力する」といったことです。参加者の一人でもこれらのことを理解していなかったら、サッカーとして成立しません。

これと同じです。「集団で考える」ためには、参加者が「集団で考える」という行為のルールを理解している必要があるのです。そのルールこそ、ロジカルシンキングです。

たとえば、集団で考えるためには、参加者全員が自分の考えを持ち込む必要があります。自分の考えがない人は、何も貢献できないからです。これはサッカーでいえば、一歩も動かずに、ボールも蹴らないプレイヤーみたいなものですね。

また、お互いに自分の考えを分かりやすく伝える必要もあります。相手に理解されることを目指さずに自分の考えをベラベラ話す人がいても、集団としての答えに効率的にたどり着けません。これもサッカーでたとえるなら、「決してパスしないプレイヤー」でしょうか。そんなプレイヤーがいたら勝てませんよね。

他にも、建設的で効率的な議論をするための作法(ルール)が、いくつかあります。ここでは詳細は説明しませんが、とにかく、それを参加者全員が理解していないと、「集団として考える」ことはできないのです。人と一緒に考える力とは、このルールを理解することに他なりません。

では、この力がなぜ仕事で役に立つのでしょう?

答えは、仕事では複数人で考えるからです。大学までは、集団で考える機会はまずありません。ところが、仕事の世界では一人で考えることの方が稀です。みんなで考える、議論するといったことの作法を知らなければ、仕事で価値は出せないのです。

Point

仕事では複数人で考えるので、人と一緒に考える力が役に立つ

確認

では、ここまでの内容を確認しておきましょう。

Question

ロジカルシンキングを学ぶことで身につく力を3つ述べよ。

以下に解答欄がありますので、答えを書いてみてください。自分で書いた方が、ずっと効率的に学習できます。分からない場合は、記事を読み返してくださいね。なお、この解答欄に書いたことは保存できないので、解答を保存したい場合は自分のメモアプリなどを使ってください。

  1. 自分で考える力:正解がない問いに対して、自分なりの答えを出せるようになる
  2. 人に伝える力:自分の考えを、正確に、分かりやすく伝えられるようになる
  3. 人と一緒に考える力:自分以外の人も巻き込んで考えられるようになる

まとめ

最後に、今回の話をまとめておきます。

ロジカルシンキングを習得すれば、金になります。なぜなら、ロジカルシンキングは「考える(正解のない問いの答えを探す)」ことを求められる仕事の必須スキルだからです。ロジカルシンキングを学ぶことで、①自分で考える力、②人に伝える力、③人と一緒に考える力の3つが身につきます。この3つの力があれば、考える仕事へ就職しやすくなり、さらにはそこで成果を出すことができるでしょう。

こんな感じですね。厳密には「『考える』仕事は金になる」という部分が抜けているのですが、そこは自明だと思うので割愛させてください。

おわりに

では、最後に私から問題提起です。

今回挙げた3つの能力は、「金になる」という理由で習得すべき類のものなのでしょうか?

①自分で考える力、②人に伝える力、③人と一緒に考える力、これらはどれも人間として習得すべき基本能力であって、「金になる」という理由で身につけるような類のものではないでしょう。

たとえば、「識字率」という言葉があるくらいなので、人間は文字が読めなくても生きていけるわけです。しかし、現代の日本において「文字を読む」という能力を習得していない人がいたら、ちょっとシャレにならないと思いますよね。私としては、上の3つの能力は「文字を読む」のと同じレベルの重要性を持っていると思うのですが、あなたはどう思いますか?

実際、ロジカルシンキングの基本事項は、欧米では「言語技術/クリティカル・シンキング」というジャンルで、義務教育で習います3

言語技術は、思考と表現の方法論を具体的なスキルとして指導する総合的な体系であり、その目標は、人間形成にあります。どのような人間を形成するのかといえば、概ね次のような人間です。

①自立してクリティカル・シンキングができる(自分の力で物事を論理的、分析的、多角的に検討し、適正な判断を下す能力を持つ)

(中略)

このような目標に向かって、小学校から高等学校までの12年間の教育過程の中で、発達段階に応じて、情報の取り込み(読むこと・観ること・聞くこと)、思考(批判的・論理的・分析的・多角的・創造的思考など)、表現(話すこと・書くこと)などのスキルを体系的、かつ具体的に指導するのが言語技術です。

日本の義務教育・大学教育ではこの部分がゴッソリ抜け落ちているため、新入社員研修でロジカルシンキングが大盛況という、謎の状況が生まれています。これってどうなんでしょうかね。

まあ、その辺の難しい話は政治家や役人の方に考えてもらうとして、私が言いたいのはこういうことです。

Point

ロジカルシンキングのメリット:人間としての基本能力が身につく

以上、ロジカルシンキングを勉強するメリットを説明しました。早速、これからロジカルシンキングの勉強を始めましょう!

続きはこちら↓

また、ロジカルシンキング関連のエントリーは以下のリンクにまとめてあります。こちらも参考にしてください。

参考文献


  1. 日本における「ロジカルシンキング」の英訳として妥当なのは「critical thinking(批判的思考)」だと私は思います。しかし、日本でも「ロジカルシンキング」と「クリティカルシンキング」を区別する人もいるので、このあたりの区別は曖昧です。 

  2. 世の中には「学習すること自体に価値がある」という考え方があり、稀にそういうタイプの人(学習を遊びのように捉えられる人)がいるのは事実です。しかし、①そんな人は滅多にいない、②これだと学ぶことに優先順位がつけられなくなる、という2つの理由で、このサイトではこのような考え方は採用しません。 

  3. ただし、そもそも日本における「ロジカルシンキング」の範囲が曖昧なので注意してください。少なくとも、このサイトにおけるロジカルシンキングは、欧米における言語技術やクリティカル・シンキングの内容を織り込んでいます。