問題解決・ロジカルシンキングにおける「論点」とは

このエントリーでは、問題解決・ロジカルシンキングの文脈における「論点」とは何かを説明します。

論点は問題解決やロジカルシンキングの起点となる概念です。これを理解することがすべての出発点ですので、しっかり押さえてください。

では始めていきましょう。

一般的な「論点」

論点とは何でしょうか?

まずは、一般的な「論点」の意味を確認しておきましょう。辞書には、以下のように書かれています。

議論の中心となる問題点。「論点から外れる」

このように、普通に「論点」という言葉を使う場合、「いま議論したいこと」、「話題の中心」、「意見の対立が生じているポイント」、というような意味合いで使うことが多いです。イメージとしては、「キーポイント」という言葉が近いでしょう。

ただ、この定義では曖昧すぎて、ロジカルシンキングや問題解決の文脈では使い勝手が悪いです。ということで、このサイトでは「論点」をもう少し厳密に定義します。

ロジカルシンキングにおける論点

ロジカルシンキングのキーワード:論点

まずは、ロジカルシンキングにおける「論点」から定義します。

ロジカルシンキングにおける論点とは、答えを出そうとする1つの問い(疑問文)のことです

Keyword

ロジカルシンキングにおける「論点」:答えを出そうとする1つの問い(疑問文)

具体例を見ておきましょう。あなたが答えが知りたいと思う問いであれば、何でも構いません。以下のようなものです。

  • 問題解決・ロジカルシンキングにおける「論点」とは何か?

知ってのとおり、これはこのエントリーの論点です。あなたは、この問いに対する答えが知りたいから、このエントリーをここまで読んでいますよね(最後まで読んでもらえると嬉しいです)。このようなものが論点です。

先ほどの一般的な定義から変わっている点は、以下の2点です。

  1. 論点とは問い(疑問文)であると規定している
  2. 論点は1つであると明記している

順に説明します。

論点の条件①:問い(疑問文)である

論点の1つめの条件は、問い(疑問文)であることです。

つまり、ロジカルシンキングの文脈では、論点は必ず疑問文の形で書いてください

これ以降は、疑問文で書かれていないものは論点ではありません。たとえば、「どの会社に就職するべきか?」は論点ですが、「就職活動」は論点ではありません。疑問文になっていないからです。

論点を疑問文で書くことは、ロジカルシンキングを実践する上で決定的に重要なことです。必ずこのルールを守ってください。

なぜ疑問文しかダメなのか

なぜ、論点を疑問文で書くことがそこまで重要なのでしょう?

答えは、考えたいことを具体的に表現するためには、疑問文以外の形式は使い物にならないからです。

これは本当に大事なことなので、逆からも言っておきます。単語や文節で何を書こうと、考えたいことは具体的になりません。以下のスライドを見てください。

論点の書き方

例を使って説明しましょう。単語や文節で論点を表現するとは、以下のようなものを論点(考えたいこと)として掲げるということです。

  • 新商品開発(単語)
  • 新商品の開発について(文節)

このような表現は、全く具体的ではありません。たとえば、「新商品の開発について」という文節からは、以下のような疑問文がいくつでも想像できてしまいます。

  • 新商品の開発をするべきか?
  • 新商品として、どんな商品を開発するべきか?
  • いくつの新商品を開発するか?
  • 新商品の開発は予定通りに進んでいるか?

このように、単語や文節で「考えたいこと」を表現しようとしても、それが1つに定まらないのです。これでは考えることはできません。

もちろん、論点を疑問文で書いたからといって、考えたいことが自動的に1つに定まるわけではありません。曖昧な副詞や形容詞が含まれている疑問文は、意味が分からないこともありますからね。そのあたりの対処法は、これから勉強しましょう。ここでは、考えたいことを具体的に表現するには、最低でも疑問文にする必要があることを押さえてください。

Point

考えたいことを具体的に表現するには、疑問文で書くしかない

主な疑問文の型

参考までに、主な疑問文の型と、それに対する答え(主張)の型をまとめた表を載せておきます。

論点と主張の型

ほとんどの場合、あなたが設定する論点は、この表にある疑問文のどれかと同じ形になるはずです。自分が何を問いかけているのか(=何を考えようとしているのか)、意識してみてください。

なお、この表の詳細に関しては次のエントリーで解説します。

論点の条件②:1つである

論点の2つめの条件は、1つであることです。

これは自明かもしれませんが、念のため意識してください。フォーカスを当てて考えたいことが同時に2つあったらおかしいですよね。それではフォーカスが当たっていません。1つに絞るから、そこに思考力を集中できるのです。

もし考えたい問いが2つ以上ある場合は、「今の論点はこれ、次の論点はあれ」という形で、考える/議論するタイミングを分けてください。といっても、それしかやりようがありませんが1

論点の条件③:簡単には答えが出せない

ここまでの2つの条件から、論点の3つめの条件が浮かび上がります。それは、「論点」とはあなたにとって簡単には答えが出せない問いである、ということです。

これは論点というものの特性を考えれば明らかでしょう。わざわざ1つの問いを「これが論点だ。この問いに対する答えが知りたい」と明確に意識して、答えを出そうとするわけです。そんな問いが、3秒で答えが出せる問いであるはずがないですよね。

たとえば、「今日の昼ごはんを何にするか?」という問いを論点と呼んで、ウンウン頭を使う意味はありません。食べたいと思ったものを食べるだけです。

つまり、「論点」というレッテルを貼られる時点で、その問いはあなたにとって簡単には答えが出せない問いなのです。これ以降は、論点とは簡単には答えが出せない問いのこととします。

Point

論点とは、簡単には答えが出せない、1つの問いである

問題解決における論点

では、ロジカルシンキングにおける論点が定義できたので、次は問題解決における論点を定義しましょう。

なお、ここからの話は問題解決における「問題」という言葉の意味が分かっていないと理解できません。以下のリンクで説明しているので、「問題」の意味が分からない人は読んでから先に進んでください。

話を戻しましょう。問題解決における論点とは、リソースを投入してゴールへの到達を目指す問題のことです。要するに、解決したい問題のことですね。

Keyword

問題解決における「論点」:リソースを投入してゴールへの到達を目指す問題

例を見ておきましょう。以下のようなものが論点です。

  • 英語が話せない/英語を話せるようになりたい

ちなみに、問題とは「ゴールと現状のギャップ」なので、論点は現状の側から書いても、ゴールの側から書いても構いません。ゴール側の視点から書いた方が前向きな表現になるので、そちらがオススメです。この例でも、「英語を話せるようになりたい」の方が良いですよね。

論点(解決したい問題)= 解決策を問う疑問文

「あれ、問題解決の場合は、論点は疑問文じゃないの?」と思ったかもしれません。たしかに、定義上はそうですが、事実上は疑問文です。なぜなら、問題解決では、解決したい問題が定まれば、解決策を問いかける疑問文が同時に生まれるからです。

どういうことでしょうか?

まずは問題解決のプロセスを見てみましょう。

問題解決のプロセス

このように、問題解決の最後のプロセスは行動です。行動せずに、現状がゴールに近づくことはありませんからね。この「現状をゴールに近づける行動」は、問題解決では解決策と呼ばれます。

ということは、論点(解決したい問題)が定まった時点で、正しい解決策が知りたいわけです2。言い換えると、問題解決においては常に、論点が決まれば「解決策は何か?」という疑問文がセットでついてきます。例外はありません。

先ほどの例でも、「英語を話せるようになりたい」という論点をセットしたなら、即座に「どうすれば英語を話せるようになるか?」という問いを考え始めるはずです。それをしないなら、そこまで真剣ではない、つまり、「英語を話せるようになりたい」は論点ではないということです。

問題解決の文脈でロジカルシンキングを使う場合の論点

さて、問題解決における論点も定義できると、実践上のロジカルシンキングにおける論点に関する示唆が得られます。

学生や研究者でない限り、ロジカルシンキングは問題解決の一部として使います。ということは、あなたが設定する論点は、原則として解決策を問いかけるものになるはずです。つまり、実践のロジカルシンキングにおいては、「どうすればXできるか?/Xするためには何をすればよいか?」というタイプの疑問文しか、論点になれません

先ほどの表でも確認しておきましょう。

論点と主張の型

もちろん、解決策を問いかけないタイプの疑問文を論点にしても構いません。しかし、その場合は本当にその論点で大丈夫なのか、真剣に疑った方がよいでしょう。特にビジネスの場合はそうです。最後に行動に繋がらないことを考えて、あなたの顧客はどう満足しますか? この問いに対する答えが必要です3

Point

ビジネスにおける論点は、ほとんどの場合「解決策(行動)を問いかける疑問文」である

余談:「論点」の別の言い方・別の使われ方

最後に余談ですが、このエントリーで説明した「論点」に相当する概念は、業界によって呼び名が変わります。また、「論点」という言葉を違う意味で使う人もいるので、この2点について説明します。

「論点」の別の言い方

まず、このエントリーで紹介したような、「考えたい問い」を表現する言葉として、「論点」以外に、以下の言葉が使われることがあります。

  • テーマ/議題/争点(広く一般に使う)
  • アジェンダ(外資系企業)
  • イシュー(コンサルティング)
  • リサーチ・クエスチョン(研究)

これらの言葉は、このエントリーで説明した「論点」の同義語である(=意味の違いはない)と考えてよいでしょう。ただ、結局のところ言葉の定義というのは、その言葉を使用する人たちの間で揃っていないと意味がありません。不安な場合は周りの人に確認してくださいね。

次に、このうちのどの呼び名を使うかですが、呼び名はただのレッテルなので、「論点」という呼び名にこだわる必要はありません。あなたの好みや、周囲の人がどんな呼び名を使っているかを観察して、呼び名を決めてください。

ただし、個人的には「テーマ」や「アジェンダ」という言葉にはリスクがあると感じています。これらの言葉を使う人は、論点(に該当するモノ)を単語や文節で表現する傾向があるのです。

単語や文節はキャッチーなので、掴みとしてそれらの表現を「テーマ」や「アジェンダ」として打ち出すことは問題ありません。しかし、その背後には「考えたい疑問文」が必要です。ここだけ注意してくださいね。

まとめると、論点に該当するモノをどう呼ぶかは、特に気にする必要はありません。とにかく、「考えたいこと/議論したいこと」が疑問文の形で明確になっており、議論の参加者に共有されているかに注意を払ってください。

Point

考えたい疑問文が明確で、共有されているかをチェックする

違う意味で使われる「論点」

次に、「論点」や「問題」という言葉がこのエントリーとは違う意味で使われるケースを紹介しておきます。

一部のビジネス書では、「論点/課題/問題」という言葉が、原因分析を行った結果として見つかる「真因(原因の候補の中で、悪さをしているもの)」という意味で使われることがあります

これは単に言葉の定義の違いなので、「そういう定義で使う人もいる」ということを覚えておいてください。このサイトでは、そのまま「真因」を使う予定です。

以上、問題解決・ロジカルシンキングにおける論点とは何かを説明しました。

次は、疑問文とは何かを勉強しましょう。このエントリーで述べたとおり、論点とは疑問文です。疑問文を理解することが、論点と上手く付き合うための第一歩です。

また、論点を設定する方法が学びたいなら、以下のエントリーを参考にしてください。ただし、学習の順序としてはジャンプするのと、内容が一気にハイレベルになる点に注意してください。

最後に、ロジカルシンキング関連のエントリーは以下のページにまとめてあります。こちらも参考にしてください。


  1. ただし、ある論点を考えているときに全く別の論点に関する考えが進化することはあるので(少なくとも私はあります)、人間の頭脳の中では無意識の並列処理が行われているのかもしれません。 

  2. もし正しい解決策が分かっている場合は、上のスライドにおける「考える」の部分は飛ばして、行動してください。 

  3. 自分のために考える場合は、「知的好奇心を満たしたい」、「考えること自体が目的だ」といったゴールで何の問題もありません。