カテゴリー(質的変数)の切り口【足し算の分解③】

足し算の分解の切り口

このエントリーでは、足し算の分解の切り口のうち、カテゴリー(質的変数)による分解を勉強しましょう。

なお、このエントリーは一連の「足し算の分解」の一部なので、以下のエントリーから順に読んでください。

では始めていきましょう。

足し算の切り口②:カテゴリー(質的変数)

足し算の分解の切り口

足し算の分解の2つめの切り口は、カテゴリーです。今度は表の下側ですね。専門用語では質的変数と呼ぶので、これも頭の片隅に入れておいてください。

カテゴリー(質的変数)とは

カテゴリーがどんなものかは、具体例を見た方が早いです。上の表を見てください。

上側は、前回のエントリーで学んだ数字(量的変数)の切り口です。すべて、切り方が数字で表現されていることを確認してください。

それに対し、下側の切り方は数字になっていません。性別(男、女)、職業(学生、会社員、自営業、、、)といった切り方は、すべて人間が考えたレッテル(分類)ですよね。このようなものがカテゴリーです1

Keyword

カテゴリー:人間が考えたレッテル(分類)

なお、一般的には「カテゴリー」という言葉に固有名詞は含まれませんが、分解の切り口として固有名詞を使うことはあるので、ここでの「カテゴリー」は固有名詞まで含めるとします。数字で表現できない切り口は、すべてカテゴリーであると考えてください。

実際のところ、固有名詞とはレッテルそのものなので、そう考えても何の問題もありません。たとえば、私たちの名前とは、「個体として識別するためのレッテル」ですよね(こう書くと冷たい感じになってしまいますが)。

分解の具体例

具体例を見ておきましょう。ここでは、「どのような人が、この商品を買っているのか?」という大論点を2つの切り口で分解してみます。

まずは、性別で分解してみましょう。以下のようになります。

  • どのような人が、この商品を買っているのか?
    • 男か?
    • 女か?

次は、同じ大論点を日本国内の居住地で分解してみましょう。

  • どのような人が、この商品を買っているのか?
    • 北海道の人か?
    • 本州の人か?
    • 四国の人か?
    • 九州の人か?
    • 沖縄の人か?

性別や地域というのは、人間が考えたレッテルで、数字では表現できませんよね。このような分解が、カテゴリーを切り口にした論点の分解です。

練習問題

では、練習問題で確認しましょう。

Question

以下の論点を、カッコ内で指定された切り口で分解せよ。

Q1

どんなスマホに人気があるのか?(OS)

以下に解答欄がありますので、答えを書いてみてください。自分で書いた方が、ずっと効率的に学習できます参考)。分からなくても、トライしてくださいね。なお、この解答欄に書いたことは保存できないので、解答を保存したい場合は自分のメモアプリなどを使ってください。

  • どんなスマホに人気があるのか?
    • iOS(=iPhone)か?
    • Androidか?
Q2

どんなスマホに人気があるのか?(メーカー)

  • どんなスマホに人気があるのか?
    • Appleか?
    • ソニーか?
    • サムスンか?
    • その他のメーカーか?

カテゴリーによる分解のポイント:網羅性を担保する

カテゴリーによる分解では、網羅性を担保することが重要です。言い換えると、漏れが出ないように分解しなければなりません。

これは数字の切り口と比較すると分かりやすいでしょう。数字の切り口では、漏れはまず出ません。誰でも「数字は0から無限大の範囲をとる」ということを知っているからです(「温度」などで分解するなら、負の数も含めます)。たとえば、「年齢」や「年収」を切り口にするなら、0から始めてダブリがないように階級を決め、最大の階級を「X以上」としておけば、それで網羅性は担保されます。

これに比べ、カテゴリーの切り口で網羅性を担保するのは簡単ではありません。カテゴリーの切り口には、「これで完全に網羅的だ」と言い切る方法がないことが多いのです。先ほどの表を見てみましょう。

足し算の分解の切り口

たとえば、一番下にある「種類」で果物を分解するケースでは、普通のやり方で網羅性を担保するのは不可能です。世の中には数え切れない果物がありますから、どうやっても漏れが出ますよね。

また、あまりに細かく分類していては分かりにくくなってしまいます。ゴールはあくまで「大論点に答えること」であり、「正しく分解(分類)すること」ではありません。小論点の数は、私たちが違いを把握できるレベルに抑える必要があります。この数がいくつなのかは議論の余地がありますが、個人的には多くとも5-6つ程度にしておくべきだと思います。

Point

カテゴリーによる分解では、小論点を分かりやすいレベルの数に抑えつつ、かつ網羅性を担保することが求められる

網羅性を担保するための秘密兵器:「その他」

ではどうするかというと、最後に「その他」を加えてください。これで網羅性を担保できます。

実際に、果物の分解で「その他」を加えてみましょう。

  • 果物
    • リンゴ
    • みかん
    • ぶどう
    • その他

これだけで、分解が網羅的になりました。知ってのとおり、「その他」という言葉は「ある集合の中で、これまでに挙げられていないものすべて」という意味を持ちます。つまり、「その他」という言葉自体が網羅性を自動的に担保してくれるという、まさにマジックワードです。カテゴリーの分解では、100パーセント網羅的であると確信できる場合以外は、最後に「その他」を加えておくと安全です。

Point

カテゴリーによる分解では、100パーセント網羅的であると確信できる場合以外は、最後に「その他」を加える

「その他」の亜種:Not A

ちなみに、「その他」も含めて全部で2つに分ける場合、つまり、具体的なカテゴリーが1つしかない場合は、「その他」は「Not A(Aはカテゴリー名)」とした方が分かりやすくなります。数学で言うところの「補集合」ですね。こちらも具体例を見ておきましょう。

  • 果物
    • 甘い果物(A)
    • 甘くない果物(Not A)

これは余談ですが、この二分法による言い回しは小説や映画などでもよく出てきますね。私が好きなものを紹介しておきます。

Do. Or do not. There is no try.

「その他」の扱い

このように「その他」は便利なツールですが、扱いには注意が必要です。「その他」という概念を具体的に考えることはできないので、間違って大きな/重要な要素を「その他」の箱に突っ込んでしまったら、その時点でその分解は失敗が確定します。あくまでも、主要な要素は出し切った後で、最後に使うようにしてください。

以上、カテゴリーの切り口を説明しました。足し算の分解はこれで終了なので、次はかけ算の分解を学びましょう。以下のエントリーに進んでください。

また、ロジカルシンキング関連のエントリーは以下のページにまとめてあります。こちらも参考にしてください。


  1. なお、厳密には量的変数も人間が考えたカテゴリーです。カテゴリーのうち、たまたま数字で表現できるものを別物扱いしているだけです。